ヒンズー教には有名な「カースト」という身分差別制度がある。
そのカーストの下には、カーストを持たない「不可触民」という人らがおり、このような人らは上位カーストにとって見るのも汚らわしい存在であるという。
厳密に言えば我々外国人というのは、カーストを持っていないのだからこの不可触民に区分されるらしい。
日本において「見るのも汚らわしい」に当てはまるものを考えてみると酔っ払いが駅にぶちまけたゲロ(締めに食ったラーメン入り)とか、公衆便所の流されていないウンコ(下痢気味)とかが挙げられる。
つまりインドにおいて、我々は常に自分がゲロやウンコであるという自覚をもって行動すべきなのだ。
だから何かの奥様番組のように、誰かさんちの冷蔵庫をちょっと拝見、なんてやってしまうと、中身が全部汚されてしまったことになり大変なことになる可能性がある。
私自身も以前上位カースト(僧)に握手を拒否されたことがあり差別される者の悲哀を味わった。
もちろんこういう衛生観念はインド人自身の生活も束縛しているようで(彼ら自身はそう思ってないのかもしれないが)、例えば毎日行う神へのお祈りの前には必ず綺麗に体を洗って新しい服に着替えなければならない。
で、いざ神棚へ向かう途中に急に腹が痛くなり便所に駆け込んじゃったら振り出しに戻って体洗いからやり直しとなる。
その他食事や洗濯などにもいろいろ決まりがあって知るに連れてそのタブーのあまりの多さにウンザリしてくる。
前まで世界で一番面倒な宗教はイスラム教だと思ってたけど、ヒンズー教に比べればかわいいものだ。
今私はインド人家庭内に身を置く生活をしていて過去通算すれば一年近くインドに居るのだがいまだに新たな発見が多い。
もしこのまま10年経ったとしても完全に理解するのは不可能なような気がする。
2005年2月24日木曜日
身分制度
中年のツブヤキ
大学生の春休みシーズンに入り、インドにも大勢の若者がやって来ている。
最近は同じ干支の人に会うことも、もはや驚きではなくなった。
ウザイおやじと思われたり、オヤジ狩りに遭ったりしないようナウいヤングの話題に迎合しようと空しい努力をしてみたりするわけだが、彼らの言動を見ていてどーしても一言物申したい衝動にかられることがある。
それは一部に見られるザックの背負い方。
肩ベルトをいっぱいまで伸ばし、だらりと後方に垂れ下がらせた背負い方。
本体胸元で締めるはずの左右を結ぶベルトが首の後ろ辺りにあったりしてザックの設計者が見たらさぞかし嘆き悲しむことだろう。
通学用デイパックならまだしも、それなりの容量・重量のザックをその方法で背負っているのを見ると、インパール作戦で敗走続ける旧日本兵のような痛々しさすら覚えてしまう。
あれは腰ベルトを腰骨に乗るようにし、下から上へと各ベルトを締めてゆけば体にぴったり密着し、同じ重量を持ったときの感覚がまるで違ってくるのだ。
まあもしかして彼らは、ただでさえ苦難の多いインドの旅に自ら更に苦役を課すことで己を鍛え上げるつもりなのかもしれないな、と思いつつ、注意したくなる誘惑を抑え続ける32歳の私であった。
インドで結婚式2
たとえば日本で結婚式に参列する場合、女性は着ていくものを選ぶとき主役の新婦より派手にならないように気を遣ったりするものだと思うが、インドにはその気配りはないようだ。
普段あまり外に出る機会のない女性達はここぞとばかりに飾り立てる。
ゴージャスサリーに身を包み、額・鼻・耳・髪・手の指・甲・手首・足首・足の指・・・、体の中で出っ張っている部分、引っかけられる部分、空白の部分を全て埋め尽くすべく投入された金銀財宝は自らの体重の約30%(推定)。
数百人の集う披露宴では、新婦は赤いウェディングサリーを着ているのでかろうじて判別できるものの、もし一般サリーに着替えたら誰が主役なんだかさっぱり判らないだろう。
結婚式が女のためにあるというとは、やはり洋の東西を問わぬもののようである。
(写真:主役は誰じゃ?)
2005年2月1日火曜日
インドで結婚式
結婚式に参加しました。
2年前もしたのですが、その時は知り合いの知り合いので一部のみでしたが、今回のは身を寄せている一家の中の一人(男30代後半)の結婚なので10日以上にわたるイベントの全てを見ることができました。
形式にこだわるヒンズー教の儀式らしく、それはそれは長ったらしくしつこいくらいいろいろありました。
披露宴は、一昔前日本のでゴンドラに乗って登場するなんてのがありましたがそれが子供だましに思えるほど派手で、名古屋人の私もびっくりです。
大行列を従え白馬に乗って街をパレードしたりしていました。
そして夜・・・。
男として生を受けた以上、なさねば死ねぬ大切なイベント・・・。
これまでの人生で溜めに溜めた莫大なエネルギーを一気に放出させたため強烈な摩擦熱によって急激な上昇気流が発生、巨大な雷雲を呼び、気象観測史上最高の豪雨、突風が吹き荒れ、ガンガーの水位が50m上昇、床上浸水家屋8万5千戸、死者行方不明者15万人、死牛行方不明牛7000頭にのぼる驚天動地、阿鼻叫喚、空前絶後の大惨事を引き起こしました。
が、理由が理由だけにインド政府が緘口令を敷いたため海外ニュースに載ることはなかったようです。
おふたりさん、お幸せに・・・。