2003年5月24日土曜日

イケニエ

カルカッタにカーリー寺院という寺があります。
ここでは毎朝カーリー神への生け贄としてヤギの首がはねられます。
もがくヤギの首を押さえつけ巨大なナタでスパン!
首が落ちるとそのままグデッとなるかと思ったら、ヤギは結構しぶとく30秒ほど足をバタバタさせもがくのです。
その足がさっきまでついていた自分の頭を蹴っ飛ばし、間近で見ていた私の足元へコロコロと転がって来たからビックリ!!
ヤギさんと目が合ってしまいました。
おお神よ!!

ある日・・・

ついにここを去る日が来ました。
いつもはただ過ぎてゆく時間が、今日は一分一分がその時までのカウントダウンのようで貴重に感じられます。
「明日からは子供たちの『カジュー!カジュー!(私のこと)』という声がなくなって静かになっちゃうね。」
そう言われるとますます寂しさ募ります。

5ヶ月過ごした部屋を整理していると、次々と家族の人がやって来て、旅の安全を祈って、と首・腕・指にいろいろなお守りをいただきました。
せっかく荷物を少しでも軽く、と思っていたのにすげー重い壁絵などももらってしまって嬉しいやら困るやら・・

出発の時間は刻々と迫って来ます。
みんななぜか無言。
言わねばならない、でも言いたくない・・・。
よし、あの秒針が12の所を指したら言おう、思わず顔を伏せてしまいました。
この顔を上げなければ秒針はもう一回り猶予を与えてくれる・・・
しかし顔を上げるとちょうど針は12の所を指していたのでした。
「じゃあ、もう出発するよ。」

玄関まで総勢20人以上の家族全員が見送ってくれました。
一人一人と握手し別れの挨拶。
みんな複雑な表情。
こっちも思わずジーンと来てしまいます。
すると中の一人が言いました。
「またきっと戻ってくるんだよ!」

そうだ、私はまたここに戻ってくるんだ。
メソメソなんかしてられない!
込み上げてくる熱いものをグッとこらえて笑顔に戻って言いました。
「また、会いましょう!!」

バラナシの、ある暑い日の出来事です。

2003年5月19日月曜日

打ち出の小槌

いくら貧乏旅行といってもやっぱりお金は必要。
現地通貨を得るための方法としては・・・

1。米ドルキャッシュを両替
 長所:これを両替で断られる事はない。普段の支払いがドルキャッシュでOKの場合もある。
 短所:盗まれたら一巻のオワリ。円→ドル→現地通貨の二重両替になるので目減りする。
2。トラベラーズチェックを両替
 長所:盗まれても再発行してもらえる。
 短所:多額になるとかさばって胴巻きがパンパンになる。
3。Citibankのカードで引き出し
 長所:手数料不要(残高が十分あれば、だけど)
 短所:使えるATMがそんなにない。
4。Visaカードでキャッシング
 長所:使えるATMがそこらじゅうにある。ATMが使えなくても窓口にパスポートとサインでOKの銀行・両替商多し。
 短所:借金だから当然利子がつく(ただしTCが作る時1%、両替時にも手数料取られる事が多いことを考えると、翌月返済できるならこっちの方が得なこともありうる)
5。現地人の子供に「ジャンプしてみろ!」と言って、チャリンチャリン音がしたらカツアゲする
 長所:元手が要らない
 短所:多額を引き出すのは困難

2003年5月6日火曜日

鈴木くん佐藤くん

突然ですが「鈴木くん」「佐藤くん」というお菓子を知っていますか?
「知ってるよ」と反射的に答えてしまったアナタ。
おそらくアナタの年齢は25歳以上ですネ。
いや、じつは私は今もそのスナック菓子のパッケージがデザインされた巾着袋を使っているのですが、それを見た人が「何ですかこれ?」とか「佐藤さんという名前なんですか?」とか聞いてくるのです。
オー、この一世を風靡したお菓子を知らない世代かー!と自分の年齢を感じてしまう瞬間でありました。

旅と全然関係ない話でゴメンナサイ。

モンキーマジック

バラナシには猿がいっぱいいます。
しかも結構狂暴で洗濯物を持っていってビリビリに引き裂いたり、家の中にも堂々と入ってきて物を奪っていったり。
私がベランダの扉をあけたままにして寝ていても勝手に入ってきてお菓子や果物を何度か盗られました。
被害総額はかなりなもんです。
地元の人もほとほと手を焼いているようで棒を振りかざして追い払っている姿をよく見かけます。

そんなんでも決して退治したりはしない。
なぜならヒンズー教には「ハヌマーン」という猿の神様がいるからです。
先日道に猿の死体が転がっていました。
みんなでお線香を立て、供養してました。

牛といい猿といい、えらいもんを神にしてしまったもんですね。
でも逆に考えれば、この程度ですんでよかったのかも。
ハエ・蚊まで神様だったら、それこそ「生類あわれみの令」状態ですからね。

2003年5月4日日曜日

超犯罪都市

人通りの少ない路地裏を歩いていた時のこと。
一人の男が話し掛けてきた。

「私はガイドではなくただあなたと話がしたい。」
典型的なガイド勧誘パターンなのでムゲなく断るとその男はアッサリと引き下がっていった。
妙に弱気だな?と不思議に思って再び歩き出したその直後にまた別の男が寄ってきて話し掛けてきた。

「俺はポリスだ。お前は今アイツと何を話していたのだ?お前をボディチェックする必要がある!」
その男はどう見ても普通のそこら辺にいるインド人オッサンだったので、こりゃニセ者だな、とすぐピンと来た。

「だったらポリスの証明書を見せてくれよ。」
「い、いや、今はないが私はポリスである!」
「だったらこんな路地裏じゃなくてポリスステーションでならボディーチェックを受けますよ」
そう言って逆にオッサンの腕をつかんで大通りの方へ引きずり出そうとしたら腕を振り払って逃げていった。

ニセポリスに逢ったのはこれで2度目だ。
1度目はトルコのイスタンブールでのこと。
道を歩いていたら横に車が停まって、中の男が「私はポリスだ。ボディチェックする!」ときた。
「手帳を見せろ」というと、その男はちゃんと手帳を持っていた。
でもその手帳の表紙にはトルコ語で「POLIS」と書くところ、ワザワザ英語で「POLICE」と書いてあったオモチャの様な手帳だったので素早くその手帳を奪って道の向こうに放り投げてダッシュで逃げた。

長らくこの町に居たせいで、やや危険に対する警戒が薄れていたところだったので気を引き締め直す丁度いいきっかけになりました。