2003年8月19日火曜日

去り難しビルマからの道

8月15日、バンコクに向かう便に乗るため空港に向かう。
無事チェックイン、出国審査も済ませ、あとは搭乗を待つのみ。
しかし!
いつまで経っても搭乗のアナウンスが入らない。
1時間、2時間・・・やっと人の動きがあった。
でもそれは乗り込むためではなく係りに詰め寄るための動きだったのだ。
聞けばエンジントラブルのため今日の便は欠航、今日は近くのホテルに泊まってもらい、明朝の便に振り替えるとの事。
そう言えばさっきから外で「キュイーン、キュイーン」と何度もエンジンの音がしてたっけ。
別に急ぐ旅ではないので豪華ホテルにタダで泊まれるならそっちの方がいいや。
その日は豪華ディナーのあとプールで泳ぎACの効いた部屋でフカフカのベッドにもぐりこんで快眠。

翌朝・・・
指定された時間に空港に着くとそこはすでに狂乱の事態。
元々この便の予約をしていた分に昨日の客が入りこんだもんだから大量のオーバーブッキングが発生。
社会人休暇で来ている人は、「これが限界だ!会社にどう説明するんだ!」
と詰め寄るし、昨日の客は、「2便もキャンセルとはどういうつもりだ!」
と詰め寄るし。
私としては別に急ぐ旅ではないので豪華ホテルにまたタダで泊まれるならそっちの方がいいや、と早々に搭乗を放棄しホテルに戻って飯食ったりプールで泳いだり。
この日の夕方の別会社便にも振り替えがあったのだがそれにも乗れずに結局合計3便とばされ、48時間後の4便目にやっと乗れました。

しかしこの間まったく抵抗することなく、逆に嬉しそうに指示に従っている私の態度に職員も気づいていたようで「You have happy life in Yangon!」
とイヤミめいたことまで言われてしまった。
貧乏ってやだね。

成り難しリコンファームの道

バンコク行きの航空券のリコンファームをやりに、ヤンゴン市内のインディアンエアラインズのオフィスに行った時の事である。
予定より早めの便に変更してもらうよう申し出たところ、返ってきた答えは
「早めの便どころか元々の便もないわよ。」
一体何を言っているのかよく理解出来ない。
もう一回詳しく言ってよ。
「8月に入って突然ミャンマー政府がインディアンエアラインズに対し許可を下ろさなくなったため以降の便は全便キャンセル。もしバンコクに行きたいんだったら41ドル払えば別会社の便に振り替えてやってもいいわよ。」
オイオイ!やってもいいわよじゃねーだろ!!
そっちの責任なんだからそっちが代替金保証すべきだろう!
と怒ってみるも
「今はマネージャーがいないので明日もう一回来い。」

明日もう一回行ってみる。
ターバン巻いたインド人マネージャーと対決する。
しかしさすがはインド人、こっちの話には全く耳を貸す様子はなくわびの一言もなし。
「半分しか飛んでないんだから半額返却せよ」と言っても
「これは安チケットだから返却は出来ない」とか、
「なぜ許可却下を事前察知出来なかったのか?業務怠慢ではないのか?」と言っても
「ミャンマー政府がすべて悪いのだ。こっちこそ被害者だ」とか、
「41ドルも手持ちがない(ビルマでは現在カード・TCの使用一切不可)」と言っても
「どっかで借りるかしてかき集めてこい」とか。
挙げ句の果てには
「このままごね続けてもビザが切れて不法滞在になってもっと困った事になるぞ!」
と脅しみたいな事を言われる始末。
それでも交渉の末、何とか30ドルまでまけさせるが、どうも釈然としないままバンコク行きのチケットをひとまず手に入れる事が出来た。
しかしこれで終りというわけではなかったのだ・・・

バングラ・ビルマ比較概論第一(2単位)

バングラデシュとビルマ。
地理的には東西に接する国同士であるが、その性質はまったくもって異なる。
海を挟んでいるわけでもなく、ヒマラヤのような巨大な山脈を挟んでいるわけでもない。
しかしありとあらゆる点が違うといっても過言ではあるまい。
気づいた点を列挙してみよう。

・顔
 彫りのふかーい顔立ちのバングラ人。日本人とそっくりのモンドロイド、ビルマ人。ビルマ人の顔はタイ人よりも日本に近いような気がする。親近感が湧きます。

・人柄
 外国人を見ればほおっておけない強烈な好奇心を持ち、熱く正義感溢れるバングラ人。シャイで静かなビルマ人。バングラでこれでもか!というくらい質問攻撃を受けてきたのに対し、ビルマではだれも話し掛けてこないので、顔が似てるから気づかないのかな?と思いきや、やっぱり外国人とはわかっているけど声かけるほどの勇気はないらしい。

・食べ物
 インドと同じようなカレー・香辛料中心のバングラ料理。いろんな味付けのあるビルマ料理。油っこいと評判の悪いビルマ料理ですが、8ヶ月間カレーばかり食べてきた私にとっては天国のような毎日です。

・服装
 男は洋服、女はサリーが標準のバングラデシュ。男性は家の中ではルンギという巻きスカートをはきます。しかしビルマではこの巻きスカートが男女ともに外出着となります。巻き方が両国でちょっと違ってバングラ巻きでビルマを歩くと「違うよ」と注意されちゃいます。でもバングラ巻きの方が緩みにくいので私は好き。

・交通
 先行く車があったら追い越さずにはおれない気狂いドライバーばかりのバングラ人。対向車が来るとライト点滅させ端により減速して道を譲るビルマ人。これは歩行者も同じで、ひたすら直進してくるバングラ人と、さっと道を譲るビルマ人。ビルマでは町で信号がちゃんと機能しているのにも驚かされました。
 どちらも日本の中古車を大量に輸入しているので、街で見るのは右ハンドルの日本車ばかり。しかし共にイギリス領だったのに、バングラは左通行でビルマは右通行。だからビルマ車は追い抜く時はすごく大変そう。輸入されたバスも右側をぶち抜いて出入り口を付けています。(左側の元々ある扉は開かずの扉)

・ボリ方
 観光大国タイとインドに挟まれ忘れられがちなこの2国。観光客が少ない分、どちらも観光ズレしていない素朴な旅が出来るかなあと思っていたのですが・・・
 バングラデシュは素朴そのもの。まずボッてくるということ自体ほとんどないのですが、ごく稀に買い物しようとしてちょっとでも相場より高い値段を言おうものならそばにいた客が「てめえ、言葉の不自由な外国人からボろうとはふてえ野郎だ!正しい値段で売ってやれ!ついでにオマケも付けてやれ!」と怒ってくれるのでいつも安心して買い物出来ます。
 しかしビルマにおいてとても驚いたのが、庶民向けの店や食堂でも平気な顔してぼってくるのです。しかもそのボリ方が相場の2倍3倍という大胆さ。ぼっている事に気づいて値切ろうとしても頑として譲らず駆け引きを知らない。特に観光地はひどい。一般市民がそれを見ても見ぬふり。政府のやっている外国人料金制度に商店も追随している感じがします。
 
しかし今回私が見たビルマは都市と観光地だけなので、一面から見ただけでこの国を判断するのはよくないですね。
もっと田舎や普通の町に行けばきっと素朴な人達に会えるんでしょうね。

経済格差

アジアでは観光地や交通機関に外国人料金が設定されていることが多いです。
有名なところでは、
エジプトのピラミッド:5倍(外人300円、現地人60円 7年前の話です)
ヨルダンのペトラ:20倍(外人3400円、現地人170円 これも7年前)
チベットのポタラ宮:40倍(外人1200円、現地人30円)
インドのタージマハル:75倍(外人3000円、現地人40円)などなど

私の知る最高差はこのタージの75倍だったのですが
遂にそれを超えるものが現れた!!
それがビルマの国立博物館!
現地人1.2円に対し、外国人は600円!
その差怒涛の500倍!!
果たしてこれを超えるところはこの地球上にあるのか!!?
ご存知の方は下記までご一報ください!!

東京都港区 世界外国人差別撤廃委員会 日本支部

ビルマの竪琴


今回ビルマを訪れた理由は、昔映画「ビルマの竪琴」を見ていたく感動したかの地を自分の目で見てみたい、というものでした。
実際来てみるとやはりあちこちの寺に「○○巡礼団寄付金¥30000」とかあって多くの日本人がこの地に関係していることが分かります。
そういう寺の参道の土産屋には「ビルマの竪琴そば」や「遺骨収拾に行ってきましたクッキー」が売っていたり、水島上等兵の顔をくり貫いた看板で記念撮影が出来るようになっていたりするようなことはありません。

寺がものすごい数ありもちろん僧侶も沢山います。
彼らは人々から尊敬されてはいますが、大観光地バガンにいたある僧は歩いていると近寄ってきて
「チェンジマネー?」
小坊主がワーッと近寄ってきて、写真撮ってよ、というのでパチリ撮ると
「1$」
観光地は僧侶をも腐らせるらしい。

(写真:お金はあげないよ!)

パスポート作成料99%OFF!!

日本で10年物のパスポートを作ると15000円。
諸外国の日本大使館で作ってもそれ相当の現地通貨を払わなければなりません。
しかし!
ビルマにおいてはそれがたったの120円で出来てしまうのだ!!
スゴイ!大安売り!!太っ腹!!!

からくりはこう。
ここビルマにおいては公定レートと実勢(闇)レートの差が130倍もある。
銀行なら1$=7チャットしかくれないのに闇なら1$=1000チャットくれるのだ。
もちろん銀行で両替する人なんて誰もいないのだが、さすがに政府機関である大使館が闇レートで換算するわけにもいかないので公定レート換算すると、たった120円ぽっちでOKとなってしまうのだ。

だからパスポートの期限が切れそうな年の海外旅行は迷わずビルマにすべし。
戸籍謄本だけもってビルマに行けば観光ついでに新パスポート作れるよ。
ページの増補だけなら15円。
ただし大使館がドルばらいのみ可、とルール変更したら終わりですけどね。
(他国の大使館はみんなドルばらい。こんなばかなことをしているのは日本大使館だけです。いかにもお役所的ですね)

遙かなりビルマへの道

7月28日10:00、定刻通りカルカッタを飛び立ったヤンゴン経由バンコク行きインディアンエアラインズ727便は2時間のフライトの末ビルマの首都ヤンゴン上空にさしかかった。
窓からはヤンゴン郊外の風景が眺められる。
機は徐々に高度を下げその街並みもどんどん間近に迫って・・・
アレ?アレアレ??
だんだん遠ざかってゆく?!?!
錯覚ではなく間違いなく機は上昇しているのだ!
やがてアナウンス。
「何だかよく分かりませんが現在ヤンゴン空港が閉鎖されているのでこのままバンコクに向います。」

2時間後、何だかよく分からないままバンコクに着陸してしまった。
「ヤンゴンに向う方はこのまま席でお待ち下さい」
そう言ったままひたすら待たされる。
スッチーに聞いても
「何だかよく分からないのよ。この後取り合えず再びヤンゴンに向うけどまだ閉じていたらカルカッタへビューンね」
おいおい、ビューンじゃねーだろ。

ヤンゴンに向うのは私以外には、インド仏跡巡礼ツアー帰りのビルマ人団体。
さすが静かなる仏教国の人々だけあって皆おとなしく席に付いて冷静に待っている。
これがインド人だったらみんな口々にわめきたてスッチーに詰め寄りどさくさに紛れてケツを触ったりして大変なことになっていたところだろう。

私の頭の中では色々な考えが錯綜する。
突然の空港閉鎖ということはクーデターでも起こって反乱軍が空港やTV局を占拠し近づいてきた飛行機は無差別に対空砲で打ち落としたりしているのか?
カルカッタに戻らされたとしてもこっちのミスじゃないから代替出来るまで豪華ホテルでウハウハか?
もうビルマに行くのめんどくさいから3度バラナシで時間つぶすか?とか。

そうこう考えているうち機はバンコクを飛び立ち再びヤンゴン上空にさしかかる。
機は高度を下げる。
どうか打ち落とされませんように・・・!
やはり1年おきくらいに初詣に行きおみくじを引いたりするような信心深さが功を奏したのだろう。
何事も無くヤンゴン到着。
結局色々聞いても閉鎖の理由はよく分からないままだった。

今年は初詣に行ってないので、来年は行くことにします。