2006年8月5日土曜日

点灯虫

中国の建物の廊下や階段などには音感知式の電灯があって、パタパタと足音高らかに歩いてゆくとパッと点灯ししばらくして消える。
とある安宿に泊まっていた時のこと。
その建物は建築費をケチったか部屋の壁の上方が開いていて隣の部屋や廊下と筒抜けだった。
そして草木も眠る丑三つ時…。
どうやらここは夜のお仕事をするお姉様方の職場でもあったようで、私の隣の部屋へ男を連れて入ってきた。
一応声をひそめてはいるものの、安レンガの壁で上が開いているので声も音も筒抜け。
あんなことやそんなことをしている様子が手に取るようにわかってしまう。
いやはやタダでこんなに聞かせてもらってラッキ、じゃなかった、うるさくて眠れやしないじゃないか全く!
そしていい汗かいて二人は出てゆき、やっとこれで安眠…と思ったとたん、一階のロビーでそのお姉様がなにやらママさんに訴えている。
理由はさっぱりわからないのだが、絶叫・怒号・号泣。
ウギャギャギャー!ビェー!ビェー!ウギャギャギャギャー!ビェー!ビェー!
そのあまりの声の大きさに三階の廊下のセンサーまでがいちいち反応してしまいパカパカ点灯。
それが約2時間くらい続いたところで泣き疲れたかやっと静かになった。
もう今日は寝坊でいいや…と思ってしばらく、そこはバスターミナルの近くであったため、始発を知らせるバスのクラクションがブー!ブー!ブー!またその音で電気がパカパカ…。

このスリルと興奮こそが安宿の醍醐味。