2003年4月13日日曜日

それゆけスキンヘッダーズ!


先日宿の一家のおじいさんが亡くなりました。
計らずもインドのお葬式に参加することとなり、大変不謹慎かもしれませんがその模様をレポートさせていただきます。

それは自宅で寝込んでいたおじいさんの元へ毎日回診にやってくる医者の一言から始まりました。
「おそらくもってあと1~2日でしょう・・・」

すぐにその場に呼ばれてやって来たのはブラーミン(高僧)と子牛。
幾束かの花輪をおじいさんに握らせ、それを子牛の首へ。
お経を唱えてブラーミンと子牛は帰ってゆきました。

そして医者の診断正しくおじいさんは2日後に息を引き取りました。
玄関に寝かせられた遺体の元に、親戚・友人・近所の人などが次々とやって来て最後のお別れをします。
数時間のあと、服を脱がされ体全体に油を塗りたくられ、三重の布にくるまれ竹で編んだ担架に乗せられます。
そこへ家族友人から山のように花輪をかけられ、いよいよガンガー沿いの火葬場に出発です。
原則的に火葬場に行けるのは男性のみ。
女性・子供は家に残ってオイオイ泣き続けるのです。

火葬中は沸騰した脳みその湯気が耳の穴から吹き出してびっくりするなど興味深いこともたくさんあるのですが、火葬の様子は世にゴマンとあるインド旅行記に詳しく記されているのでここでは省略。

男達が火葬場に行っている間に女たちは家の中を水で洗い流し、服は全て替え洗濯、体を洗って清めておきます。

火葬から帰って来た男達は家に入る前に口をゆすぎ、小さな甘いお菓子を食べます。
でも食べる前にひとかけらをとっておじいさんに捧げる皿に盛ってゆきます。
この盛られたお菓子は牛に食べさせることでおじいさんへの贈り物となるのです。

男達も家に帰るとすぐに服をかえ、体を清めます。
そしてその日は食事抜き。
これが死んだ当日丸一日かけて行われる出来事です。

そして死後10日間は喪に服す期間。
この間は毎朝男達はガンガーに沐浴に行きます。
女性は7日目のみ。
食事は一日一回でスパイス抜きの質素なメニュー。
ここでも毎食少しずつおじいさんに捧げる分を集め牛に与えるのです。

10日目、この日は全員でガンガーへ。
男達はここで全員頭を剃りあげます。
つるつるの頭になったところで男女揃って沐浴。
12日目にはおじいさんも含めた御先祖様全員に捧げる祈りの儀式。
17日目にはお世話になった人へのお礼の意味を込めた大食事会。

その後も1ヶ月・半年・一年後に大きな儀式が続くそうです。

私は最初から最後まで家族と同様に儀式に参加しました。
というわけで私もスキンヘッドになったのです。
今はちょっと伸びてカツオ君状態です。

ここの儀式の面倒くささ・長さは並みでなく、僧への御布施・火葬代・食事会代など合わせると10万円近くかかり(インドでは超大金!)家族にとっては大変な負担となるわけですが、家族を何よりも大切にし、
「死」や「生まれ変わり」に関して独特の考え方を持つインド人にとっては、この葬式というイベントは何よりも大切なイベントであるのだなあと感じさせられました。