2003年9月16日火曜日

ワレ登頂セリ

エジプト、カイロでのこと。
エジプトと言えばピラミッド。
ピラミッドと言えば登りたい。
というわけで登りに行きました。

しかし昔登ろうとして落っこちて死んだ人がいたらしく、法律でピラミッドの登頂は禁止されています。
だから夜中にゲリラ的に登るのです。

宿にお金パスポート時計などは全て置いておき、身元不明にしてわずかなお金だけを持って深夜、カイロから10km離れたギザへ向かいます。
タクシーはピラミッド入り口のちょっと手前で下り、塀を乗り越えて、隣接するゴルフ場をルパン3世のように走り抜けると砂丘にぶつかります。
その丘を越えていたとき同行していた人が「アッ!」と叫びました。
何かと思ってそちらを見てみると・・・
そこには月夜に浮かび上がる巨大な三角形のシルエットが!!
立ち尽くす、というのはこういうことを言うのでしょう。
しばし呆然。

ふと我に返り、いよいよ登頂開始。
辺の中央部は石の角が削れて危ないので四隅から登りましょう。
一つの石は高さ1mくらい。
階段状になっているので登るのは簡単です。
ウンショ、ウンショと頑張りつづけて140m、ヤッター!頂上にたどり着いたぞー!!

満天の星空の元、日の出を待ちます。
一番高いクフ王のピラミッドの頂上は石がなくなっていて10m四方くらい平らになっています。
石に彫られた落書きには数百年前のがあったりして長い登頂の歴史を感じさせます。

しかしとにかく寒い!
ただでさえ砂漠の夜は冷える上、風が吹きっさらしなので寒くてたまらない!
岩陰に身を寄せて風をしのごうとしても、なぜかそこにウ○コがあったりして臭い。

やがて東の空が白みがかるころ、カイロの町からうねりのようにアザーン(朝のお祈りのお知らせ)が聞こえてきて荘厳さはピークを迎えます。

さて日の出を見終わったところで下山。
しかしここからが本当の試練なのです。
下るのは簡単。
問題は下で警官がニコニコしながら我々の下山を待っているのです。
もちろん我々を捕まえるためです。

「コラコラキミタチ、ココニ登ッチャダメダヨ。」
「言葉わかりません」
「悪イコトシタラ牢屋ニ入ル、コレエジプトノオキテ。」
「そうだ皆さんにプレゼントがあるんですよ。」

こうして来る時ちょっとだけ持ってきた小銭(10円くらい)を渡せば無罪放免。
警官は毎日のようにやって来る登山客からお小遣いをもらえるし、我々は憧れのピラミッドに登れるし、両者利害一致し皆ハッピー。

でもこれは7年前の話です。
最近は登ると本当に牢屋に入れられちゃうらしいので登るならそのつもりでどうぞ。