2008年1月12日土曜日

魔女の宅急便

実は、今回のラサ滞在で取り返しのつかないポカをしてしまった。
私には6年前に初めてラサに来たときからお世話になっている一家がいる。
最近そこの娘さんが英語の先生になったというので、その学校へ行き授業の様子を写真に撮ったりした。
その写真をぜひほしいと言われたのだが、あいにくそれがラサ滞在の最終日だったため直接渡すことができず、北京に移動してからプリントし郵送することにした。
しかし過去数度その家宛に郵便物を送ったことがあるのだが、一度も届いたことがない。
今回は写真の量も多いし期待されていることもあって確実に届いてほしいという思いから、EMSを使って郵送することにした(中国では国内でも速達便としてEMSが使われる)。

それから10日くらい経って日本に帰り着き、さすがにもう届いているだろうとホームページで確認してみたところ、投函から3日後にはラサの中央郵便局に到着しているのだが、その後そこに留め置きになったままになっている。
EMSでもこれか!と腹立たしく思いながら手元にある自分用のアルバムをパラパラ見ていたところ、背筋の寒くなるようなとんでもないことを発見してしまった。
送った写真の中には授業風景の他にその家族の写真も混じっていたのだが、その中の一枚の背景に壁に貼られたダライ・ラマの写真が!!その気になって見れば充分判別できるくらいの鮮明さで写ってしまっている。
もしかして郵便局留め置きの理由は、公安の検閲によってそれが見つけられたためで、住所も書いてあることから家宅捜索され、家の中をしっちゃかめっちゃかにされ、誰か連行され・・・なんてことになってしまっているかも!?とめちゃめちゃ不安になり、なんとかそちらに連絡取りたいと思ったのだが、電話は通じず、メールも返事なく。
これはチベットの一つの平和な家庭を破滅に追い込んでしまうようなとんでもない大失態である。
恩を仇で返すとはまさにこのこと。
いてもたってもいられないが、この遠く離れた地では今更どうしようもない・・・
とあきらめかけたが、一つだけ希望の光があるのを思い出した。
チベットで知り合った日本人がまだラサにいるはず!
急遽その人に頼んで郵便局まで行ってもらい、更にその娘さんの家に行って事情を説明してもらう。
どうやら自宅強制捜査などは行われていない模様、との報告を受けホッと安堵の胸をなでおろした。
その後その家族が自ら郵便局を赴き無事それは受け取れたとのこと。
めでたしめでたし。

そもそもこういった事態を招いてしまった原因には中国の郵便システムの欠陥が挙げられよう。
局によっては一戸一戸配達せず全て局留めにし、住民が自ら取りに行く方式にしているところがある。
もし住民に定期的に確認する習慣がなければ、送り主からその家に連絡しない限り永久に郵便物は届かない。
それを避けるために用いたEMSですらこのざまだ。

あれ?
もしかしたら中国の「EMS」って「Express Mail Service」じゃなくて、
「Er Mei Song 而没送(しかも配達しない)」だったのかも??