2004年1月3日土曜日

第1話 それは涙で始まった

時は1997年9月4日。
当時私は大学一年間の休学中で地中海一周の自転車旅をしていた。
エジプトからトルコまで走り、そのトルコ生活も3ヶ月に近づいた。
そろそろ次国ギリシャに入るべく、エーゲ海沿いを行き明日国際フェリーに乗り、いよいよトルコともお別れになる予定になっていた。

トルコではほとんどがガソリンスタンドで泊めてもらい、それがよい出会いを生み、一番の思い出となっていた。
これがトルコ最後の夜なのだから、やっぱりこのパターンで締めたかった。

町はあったのだがここはリゾート地帯。
きっとホテル代も高いだろう。
まあちょっと走ればすぐスタンドもあるはずさ。
そこならまた新しい出会い、感動があるに違いない。
よし出発だ!

・・・と既に薄暗くなりかけた道に向かって私は走り出した。
その時、当然私は何も知らない。
その後何が起こるかについて。
それが出会いや感動ではなく、
今まで感じたことのない世界、
悪夢のような事態であることなど・・・