私はベッドから一歩も降りられないので、何か用事があるときは頭のところにあるナースコールのボタンを押して看護婦さんに来てもらう。
しかしいつもは呼んでもいないのに勝手に来て話しして行くのに、こっちが用事があるときは全然来てくれないのだ。
ある時小便がしたくなってシビンを持って来てくれるよう頼もうとボタンを押すが、全く来る気配がない。
30分くらいしてようやく「どうかしたの〜?」とのん気にやって来た。
「早くシビンを!」
「ちょっと待ってね、男の人に頼むから」
そうなのだ、イスラム教のこの国では男のシモの世話は男の看護士がやるのだ。
当然彼は全然やってこない。
10分くらいしてようやく
「どうかしたのか?」
もうこの時には膀胱ははちきれんばかり。
やっと持ってきてくれたシビンにジョボジョボジョボ・・・
しかしあまりに待たされた私のお小水は、このビンには収まりきらずあふれ服を濡らしてしまったのだった。
教訓
「したくなりそうな30分前にはボタンを押せ」
<筆者注>
このネタは「旅行人」2002年6月号3ページに掲載
2004年1月13日火曜日
第18話 洪水