3ヶ月の入院・リハビリ生活が続いた。
この間先生に言われたことは
「たとえ反応がなくても動くのを意識して念じろ。そうすれば神経の回復も早まる」
ということだった。
時は流れた。
あの忌まわしい事故から約一年後。
私はサザエさんを観ながらもはや日課となった自己リハビリをしていた。
動くことのない左足首に手をあてながら。
・・・はじめそれは脈だと思った。
あまりにも弱いピクピクとした動きだったから。
しかしその脈は自分の意思で動かすことができるのだ。
そう、これは脈ではない!
弱々しくはあるが紛れもない、筋肉の動きなのだ!
ついに、ついに復活したのだ!
トルコの医者が行った手術は成功していたのだ!
毎日毎日念じ続けた甲斐があった!
その甲斐あって、今では手を使わずともテーブルの上の灰皿を動かしたり、女子高生のスカートをめくったりできるようにもなった。
怪我の功名である。
2004年1月20日火曜日
第28話 奇跡