2004年1月11日日曜日

第11話 視界良好

入院4日目。

足への心配が多少薄らいだことと反比例するように右目への不安感が強くなっていった。
事故直後の視界の中心が全く見えない、というようなひどい状況からはかなり回復したものの以前より遥かに視力が落ちているのが分かる。
オマケに近い所にあるものに焦点が合いにくい。
これはメガネで矯正可能なのだろうか。
ちょっと、いやかなり心配である。

さらに不安なこともある。
それは、事故の後体一つで搬送されたため今は荷物どころかパスポートもお金も何も持っていないということだ。
これでは支払いどころか自分が何者であるのかの証明すらできない。

しかしこの日の夕方やっとのこさ荷物が戻ってきた。
事故処理の管轄は軍隊にあるようで軍服姿の人が荷物を運んでくれた。
一部無くなっているものもあったが、チップということで大目にみてしんぜよう。

事故の衝撃を物語るかのように、プラスチックのケースはバキバキに割れ、缶のケースはベコベコにへこんでいた。

この時は私をはねた車の人と、警察も来ていて通訳を通していろいろ事務上のお願いもできた。
なんか事が良い方へ急展開しているようでうれしかった。