辺りはますます暗くなり道はどんどん細くなる。
そのうち町の終わりを印す看板も見え街灯も無くなった。
しかし交通量もそれほどではなく追い風なので頑張ればそのうちスタンドもあるだろう、それにもし見つからなくてもその辺の道端で寝ればいいや。
明日でトルコともお別れなのに最後に辛いことになっちゃったなあ・・・なんてことを考えながら先を急いでいた。
そんな時である。
前方から数台の車の照らすヘッドライトが見えた。
そして後方からも一台の車が来る。
このままだと逃げ場を失ってしまう!
横へそれねば危ない!
そう思った直後、横を通りすぎる車の列から一台の車が対向車線に飛び出してきた。
アッ!と思う暇はあったのだろうか?
その次には私の体は無残な形で道に転がっていた。
ヘッドライトの強烈な光と人々の声が聞こえる。
「ヤバンジュ(外人)!ヤバンジュ!」
それ以外にもワイワイ聞こえたがそれだけが聞き取れる単語だった。
どっかのおばさんだろう、ライトに照らされた私の顔を見て「ヒャッ!!」と悲鳴を上げていた。
自分でも感じていた。
生ぬるい液体が顔を滴り落ちるのを。
そして私のくしゃけた体は何人かに担ぎ上げられバンの荷台に押し込まれた。
2004年1月4日日曜日
第2話 そしてそれは起こった