担架に乗せられ広い部屋の中央に置かれた。
医者が来ていろいろ聞いてきた。
彼は私が頭を打っていることを心配していたようで、ひたすら「黙るな!話し続けろ!」と言う。
仕方ないので「エジプトからヨルダンシリアと自転車で・・・」とお決まりのトルコ語を披露した。
もちろんそんなの誰も聞いておらず、みんなドタバタドタバタ部屋を出入りしている。
そして大概の人が私の左足を見て「こりゃヒドイ!」みたいなことを言うので、これは相当なことになっているのかとドクターに聞いてみた。
「私の体には何が起こったんですか?」
「君の左足はブロークンしている。」
やっぱりか・・・
それにしてもどんなひどい状況になっているんだろう?
私は痛む体を無理に起こし自分の左足をその時始めて見てみた。
メガネは吹っ飛んでしまって無い。
右目は全然見えない。
そんな劣悪な視界状況の中でも私にははっきり見えた。
左足ふくらはぎの皮膚を突き破って中から赤黒い物体が飛び出しているのを・・・
結局その病院でやったことは左足に水をジャバジャバかけ顔を少し拭いたくらいで、これ以上は手におえましぇ〜〜んって感じでドクターから「君を大きな町の病院に輸送する」と告げられた。
そうだろう、その方がいいよ。こんなちっぽけな病院じゃ「こりゃ直せないからちょん切っちゃった方がいいな」ってなりかねないもんね。
私の体は今度は救急車に乗せられ大きな町に向かった。
ここからそこまでは山道を70km行かねばならない。
2004年1月5日月曜日
第4話 初診