揺れる車の中で私は思っていた。
たった1000円くらいの宿代をケチったためにこのような惨事になってしまったのだ。
こんなバカ者はざらにはいないだろう。
事故を引き起こした無謀なナイトランの判断を下してしまった自分をひどく呪った。
直接の原因である、あの飛び出してきた車に対する怒りは不思議と無かった。
とにかく自分に腹を立てた。
自分をののしった。
自分を呪った。
救急車は舗装状態のよくない道を結構なスピードで進んでゆく。
だから時々跳ねたりして足へショックはかなりのもの。
途中数回止まり看護婦さんが私の様子を見に来てくれる。
この時足にはエアバッグのようなものが巻きつけられており圧迫しちゃいけないという配慮で1回おきに空気を出し入れしてくれるのだが、この人らの肺活量はかなり少ないらしく空気を一杯にしても圧迫どころかあんまりショック吸収すらしてくれない。
毎日エアマットを膨らませている私の強靭な肺をお貸ししたいくらいだったがそうもいかず歯がゆい。
空気を入れた時ですらそうなのだから抜いたときはもうひどいもんだ。
車がゴトンとなると足に激痛が。
何回目かの停車でもう我慢ならず、空気は抜かないでくれ!と頼もうとしたとき、目的の町に到着したのだった。
2004年1月6日火曜日
第5話 再輸送